狂った誰かの狂騒曲 ----- ep2


そこで、臨也は目を覚ました。
いつの間にか伸ばしていた右手が空を切った。

(いやな夢を見た・・・)

大量の汗で服が体に張り付いて不快だった。

(シャワーでも浴びるか)

寝室からリビングへ行くと
すでに出勤してきたらしい波江の姿があった。

「遅い起床ね」
「いいだろ、今日は何もなかったはずだ」

憎まれ口はいつものことだ。

「ならこの溜まった情報整理、あなたがやったらどうなの?」
「何を言ってるんだい。ちゃんとその分給料払ってるだろう?」

「・・・・あ、そういえばさっき岸谷っていう医者から連絡があったわ」
「新羅が?なんていってた?」

「平和島静雄のお葬式が今日だけど、出席するのかって」

金槌で頭を殴られたような感覚だった。

「・・・・なんだって?」

ようやく口からでだのはそれだった。

「だから、平和島静雄のお葬し」
「シズちゃんの葬式?」
「ええ、場所は」
「いい。行かない。ちょっと出かけてくるよ」

臨也はいつものファー付きジャケットを羽織って家を飛び出した。


最後まで聞きたくなかった。いや、聞けなかった。
とにかく今は、それどころではなかった。

(どういうことだ。夢じゃなかったのか)

自然と足が早歩きになる。人混みの間を縫って歩く。

(おかしい。なんでシズちゃんが・・・?)

歩き慣れた町並みが、冷たく感じる。
臨也は混乱していた。